急性期医療に前向きだから引き受けた。

おこがましい考えかもしれませんが、私は病院が急性期医療に対応できる体制を整えるには、看護部が「その気」になることが不可欠だと思っています。そして地域医療に貢献できる病院とは、急性期でも何でも、どんな患者さんでも受け入れられる体制がある病院だとも考えています。私が23年間勤めた地元・鴻巣の病院から、車で高速道路を使って1時間ほど通勤にかかる当院へ移ってきたのは、急性期医療への対応に前向きな姿勢を持つ病院であり、その実現のためには看護部の強化・育成が不可欠だと理事長の風間先生がお考えだと知ったから。ご縁を頂き2014年2月から看護部長として着任させていただきました。
時代に合った看護への理解を促したい。

当院の看護部に対する第一印象は、正直なところ「今の時代の医療にはそぐわない」というものでした。私が看護師としてスタートした頃は長く入院されている患者さんのお看取りまで対応する病院がほとんどでしたが、今は国の制度が変わったのを受け、平均在院日数をできるだけ減らして在宅へのスムーズな移行が病院に求められるようになっています。そんな時代の変化についていけていない、というのが最初の印象でした。個人的な見解ではありますが、私も長く看護師を続けてきて感じるのは、多く看護師が変化を好まないということ。ではなぜ好まないかというと、変化することに意味を見出せないからだと私は思っています。だから私は当院の看護部長として、急性期医療に力を入れるのはなぜなのか、を看護師のみなさんに深く理解してもらえる環境づくりを目指そうと考えています。
年間救急受入件数を3000件まで伸ばす。

今の時代に合った看護を実現するために、現在取り組んでいるのが教育制度や体制の充実です。座学によるものやシミュレーションを主としたもの、学会での発表を伴うものなど、院外を中心に1カ月間で10以上の研修会を案内するようにしています。それらの研修会に代表参加してもらった看護師には、院内向けの伝達講習をしてもらうようにもしています。ちなみに研修への参加は通常業務と同じ扱いをしているので、「仕事のうち」になっています。こうした研修を通じて得た知識やスキルは、救急対応の件数が増え、たくさんの症例に遭遇して実践を経験することで、より効果的に身についてくるでしょう。近い将来、現在は救急受入件数が年間2000件のところを、3000件にまで伸ばしていきたいと考えています。
看護師の仕事に熱意を持って臨んでほしい。

これから当院へ入職され、一緒に働いてくれる仲間になる方たちに期待しているのは、急性期医療に積極的な関与をしていきたいという当院の看護部の方針への理解をしていただくことと、看護師という仕事に対して熱意を持って臨めることです。それさえあれば、新卒であろうと経験者であろうと、たとえ長いブランクがあったとしても、私はともに患者さんにとってより良い看護を提供する仲間になれる、と信じています。今より一件でも多くの救急の患者さんに対応できるようになることが、当院を患者さんにとって地域の信頼できる病院として認知いただけるようになるとともに、病院経営の安定化にもつながります。さらにはそこで働く看護師のみなさんにとって、自分を成長させられる環境にもなるでしょう。